幼馴染 × 社長 × スパダリ

美味しいフレンチの料理と、香りのよいワイン。
舌平目のムニエルには、フレッシュトマトソース。ほうれん草のムースが、とても美しい。
自然とワインも進む。
とても幸せな、至福の時間だ。

しかも目の前には、涼ちゃんがいる。
少し前の私には、今の自分が想像もつかない状況だ。
夢を見ているのだろうか…と思ってしまう。
夢ならば、もう少し覚めないで欲しい。


“チュン・チュン・チュン”


微かな鳥の声に気が付いた。
目を開けると、知らない天井が見える。
私は、寝ぼけながらも、周りを見渡してみる。


「…そうか、ここは昨日、涼ちゃんに案内された、私の部屋だ…」


しかし、昨日どうやってこのベッドに来たか、覚えていない。


「------っあ!昨日ワインを飲んで、気持ち良くなって、寝てしまったんだ…」


少しづつ昨日のことを思い出してみる。
涼ちゃんと一緒に、美味しいフレンチ料理とワインを、飲んだところまでは覚えている…


(…もしかして、涼ちゃんが、私を運んでくれたの?…)


私は慌てて、部屋から飛び出した。
すると、涼ちゃんはキッチンの横のテーブルで、コーヒーを淹れていた。
コーヒーの香ばしい匂いが広がっている。


「あぁ、萌絵おはよう…よく眠れたかな?」

「り…涼ちゃん、もしかして私を、部屋まで運んでくれたの?」

「萌絵が、あんまり気持ちよさそうに寝てしまったから、起こさないように、そっと運んだんだよ。」

「ご…ご…ごめんなさい!」


涼ちゃんは優しく微笑んでくれる。
「萌絵、そんなこと気にしてないよ。それに、可愛い奥さんの為に、それくらい当たり前だろ…」

涼ちゃんの優しい言葉に、顔が熱くなり恥ずかしくなる。


「コーヒーも淹れたから、萌絵もコーヒー飲むだろ?」
「…う…うん。」


涼ちゃんは、コーヒーを飲みながら椅子に座ると、足を組んで英語の新聞を広げた。
その姿は、なんだかとても画になっていてカッコいい。
ドラマか映画のようだ。


じっと見惚れてしまう。


私は、こんなに素敵な男性と、結婚してしまったのだ。
なんだか全てが嘘か、夢なのではないかと思うほどだ。


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