幼馴染 × 社長 × スパダリ

週末、涼ちゃんと私は遊園地に到着した。
涼ちゃんのカジュアルな服装もカッコいい。
ファッション雑誌のグラビアになりそうだ。
今日の為に、行きつけのブティックでスタイリングしてもらったらしい。

Tシャツにカーディガン、さりげないシルバーのネックレス。
プロのスタイリングは流石だ。
それを着こなせる涼ちゃんもスゴイ。

私はなんとなく敗北感があるが、気にせず遊園地を楽しむ予定だ。

よく見ると、この遊園地には見覚えがある。
思い出してみると、子供の頃、隣の涼ちゃん家族と一緒に来た遊園地だ。

二階堂家族と月岡家族は、遊園地やキャンプに小さい頃は、良く行っていたことを思い出した。
特にお母さん同士は、とても仲が良かった。


「涼ちゃん!この遊園地、すごく懐かしい!昔、皆で来たよね…」

「…だろぅ…だから萌絵を連れて来たかったんだ…」


遊園地の中を歩くと、当時の風景が頭の中に蘇る。
大好きだった両親と、笑っていた自分が昨日のことのように感じる。
少し涙が溢れそうになるが、涼ちゃんが優しく頭を撫でてくれた。
あえて両親のことは何も言わない涼ちゃんの優しさを感じる。

少し歩き、私は可愛いアトラクションの前で立ち止まった。

ティーカップとティーポットが入り口に可愛く描かれている。
真ん中には大きなクマさんの人形が、手をふるように動いている。


「そうそう…このコーヒーカップがクルクル回る乗り物!大好きだったなぁ…今見ると意外に小さかったんだね…」

「それは俺たちがデカくなったんじゃないか?久しぶりに乗るか?」


涼ちゃんと私はコーヒーカップに乗り込んだ。
クルクルと動き出すコーヒーカップは、真ん中にハンドルが付いていて、回すと自分たちも回転するのだ。


「涼ちゃん、昔も二人で乗ったね…涼ちゃんがくるくる回しすぎて、降りる時に私が泣いてしまって、涼ちゃん皆に怒られたよね…」

「萌絵が泣き虫だったからな…でも男の子は好きな子をいじめたくなるんだよ。」

「…っえ?」

「あの頃の萌絵も可愛いかったなぁ…俺も子供だったけど、いじめて萌絵が泣くと、どうしていいか分からなくて、すげぇ罪悪感だった。」

「涼ちゃん!!恥ずかしいから昔のことは言わないで…」


顔が赤くなる。
涼ちゃんが、そんなことを考えていてくれたなんて驚きだ。


「涼ちゃんは、たまに意地悪したけど、優しいお兄ちゃんで、大好きだったんだよ。」


私は自分で言った事が恥ずかしくなった。
顔が益々赤くなる。
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