幼馴染 × 社長 × スパダリ
秘書課
「おはようございます。本日からよろしくお願いいたします。」
私は『株式会社リョースケ』の大きな会議室に通され挨拶をした。
そこには、優しい笑顔の40代位だろうと思われる男性がいた。
その男性は人事課長だ。
「月岡さん、よろしくお願いしますね。早速ですが、貴女の配属をお伝えします。」
「…はい。」
私はきっと雑用のような部署だろうと思っていた。
たとえどんな仕事であっても有り難く仕事させていただくつもりだ。
「月岡さん、社長室付きの秘書をお願いいたします。」
「-----っえ?秘書ですか?」
その男性はニコリと笑いながら頷いた。
「…む…無理です。私に秘書は…務まらないと思います…」
「二階堂社長のご指示です。詳細は社長に聞いてください。」
大変なことになった。
いくら社長が幼馴染だとしても、こんなに大きな会社の社長秘書が務まるはずが無い。
すると、会議室をノックする音が聞こえて来た。
人事課長は返事をしてドアを開ける。
入って来たのは、涼ちゃんだった。
「…に…に…二階堂社長、私に秘書は無理です。変更頂けないでしょうか?」
私は入って来た涼ちゃんに、いきなり大きな声で訴えた。
「月岡さん、決定事項です。もし嫌というなら、会社を辞めて頂いても構いませんよ…」
(…そんなぁ…噓でしょ…信じられない…)
しかし、ここで嫌と言うわけにはいかない。
せっかく貰った就職先だ。
(…もうやるしかないわね…やってやるわ…)
私は涼ちゃんの顔を真っすぐ見て応えた。
「では、お受けいたします。何卒よろしくお願いいたします。」
私の言葉を聞いた涼ちゃんは、片眉を上げてニヤリと笑った。
「月岡さん、それでは直ぐに社長室まで来てください。」