Tear Flowes〜絶望の向こう岸〜
止めてくれて、ありがとう
フィオナが戦っている間、レティシアは病室のベッドで眠るエヴァンに付き添っていた。サルビアとフリージア、そしてレイモンドは紙に書かれたモールス符号がわかる人に何が書いてあるのか教えてもらい、廃工場へと向かっている。

「エヴァン……」

ボロボロになったエヴァンに、レティシアはそっと触れた。エヴァンは暴力によって体のあちこちにアザができ、頭は何針も縫う怪我をしており、肋骨にはヒビが入っている状態だと医師から聞かされた。しばらく無理はできない。

「エヴァン、フィオナがマーティー・ブラックローズのところへ行ってしまったの。あなたやシオンさん、家族の仇を取るつもりなんだと思う。でも私は、フィオナにそんなことしてほしくない!だけど、それを止められるのはあなたしかいないの」

レティシアの瞳から涙がこぼれる。あの怒り狂ったフィオナは、誰も止めることができないとレティシアは何となく感じていた。でも、その怒りが暴走した先には新たな悲劇しかないことは目に見えている。
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