無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「お、お母さん、落ち着いてっ……」

「落ち着けないわ……! まさか静香ちゃんに恋人ができたなんてっ……お父さんとお兄ちゃんが知ったら、卒倒しちゃうかもしれないわねっ……」

「卒倒……?」

「と、とにかく、デートならとびっきりおめかししなきゃ……! さ、行きましょう!」



お母さんは私の手を掴んで、お母さんの部屋に入れてくれた。

ドレッサーの前に座らせられて、肩をぽんっと叩かれる。



「お母さんに任せて! 世界で一番可愛い静香ちゃんを、宇宙で一番可愛くしてあげるっ!」




せ、世界一……宇宙一なんて……あはは……。

お母さんは親バカというものなのかもしれない。

でも、愛情いっぱいに私とお兄ちゃんを育ててくれたことは、ひしひしと感じていた。


< 74 / 94 >

この作品をシェア

pagetop