妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
暫くの間は三人で話をしていたが、私は二人に気を遣い、病室の外に出た。
同じフロアの休憩室で自販機の缶コーヒーを飲みながら時間を潰した。
二人で話したいコトもあるだろうと気を遣った。

お姉ちゃんの妊娠を機に、同居を始めたが・・・
想い人と同じ屋根の下で暮らすのは想像以上に緊張感が漂っていた。

家族だから、意識してはいけないと思いながらも、今でも正史さんを好いている以上はこの緊張感からは抜け出せない。

「んっ?君は美晴ちゃん…」

「!?」

クリニックの槇村光(マキムラヒカル)院長が休憩室に入って来た。

「槇村院長…」

私も彼に取り上げられた沢山いる赤ちゃんの一人。

七十オーバーであるが、今も背筋が伸び、長身で長い白衣がとても似合っていた。
「雪美ちゃんの見舞いか?」

「あ、はい…」
私は慌てて椅子から腰を上げた。
「雪美ちゃんには会ったの?」

「あ・・・はい・・・お話もしました…」

「旦那さんも一緒だし、二人に気を遣って、二人っきりにさせてるのか…」

「あの…お姉ちゃんの具合はどうですか?赤ちゃんは大丈夫ですか??」

「その件で話をしようと今から行くとこだ・・・大丈夫だ・・・でも・・・安静は必要だな…俺は病室に行くけど…君はどうする?」
「私は此処で待ってます…」



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