妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
「緊張してる?」

「あ…うん…まぁ―・・・」

「まぁ―・・・受付に行って、渡すだけだから…頑張って」

「うん」


私はどら焼きを詰め込んだ箱を包装紙で包み、紙袋に詰め込んだ。

自身の支度をして、電車で『スコール』本社へと向かう。
横浜駅西口を出るとその周辺には大手都市銀行の支店が立ち並び、オフィス街が広がっていた。
横浜駅と言えば、お買い物スポットとしての印象の方が強いけど。

オフィス街でもあった。

そのオフィス街の一角に本社を構えるのが、『スコール』本社。

親友の瑠知も此処でデザイナーの卵として勤務していた。

私はエントランスを潜り、一目散に受付カウンターへと向かった。


「『文栄堂』の白井です…」

「お待ちしておりました…社長室までご案内致します…」

「!?わ、私は…」

「『文栄堂』の白井様がお越しなられました際は、社長室にご案内しろと…社長の氷室から仰せつかりました」

「そうなんですか・・・」


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