妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
ずっと考え込む私を匡貴さんは複雑な表情で見ていた。

一通りの診察を終えた私達はクリニックの外に出る。

「寒くはないか?」

「あ、はい…」

彼の望み通り赤ちゃんを身ごもってしまった。

そんな私のカラダを気遣い、声を掛けて来る。


「大丈夫です…」

「…美晴…すまない…」

急に足を止めて、彼の方から頭を下げて来た。
見合い当日は強引で俺様だったクセに。
目の前に立つ匡貴さんはまるで別人で紳士的だった。

「…君はまだ・・・子供なんて…産みたくないよな…」

「匡貴さん・・・」

「…君の表情を見ていれば…分かる…俺は夫となる身であるが…君を強引に抱いて・・・妊娠させた酷い男だ…恨みたくなるキモチは分かる…」

私は黙って彼の言葉を訊き流した。
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