虹色のキャンバスに白い虹を描こう
9.悲しみは生きている


「美波さん? いやあ、分からないかな。いまテスト期間でしょ? 部活ないからさ……」


いささか申し訳なさそうに頭を掻いた伊藤先輩は、わざわざ三年生の教室までやって来た僕を見て驚いていた。
彼女の回答に、そうですか、と端的に反応する。やはり収穫はなかった。

清が学校を休んでいるらしい。週明けからずっとだ。

土曜日あんなことがあって、さすがにすぐ切り替えられるほど僕は丈夫ではなかった。次の週の水曜日、ようやく重い腰を上げて彼女のクラスへ赴いてみれば、清は欠席だとの情報を得た。
一応こうして伊藤先輩にも話を聞いてみたけれど、結局何も分からずじまいである。

あの日、純は清を追いかけて帰ってこなかった。後から「悪い。帰る」と簡素なメッセージが送られてきただけだ。
清が学校に来ていないと知り、純と連絡を取ろうと試みたものの、電話でも文章でも「俺から話せることは何もない」の一点張りだった。

彼女はなぜ来ないのか。いつまで休むつもりなのか。
テストが終わればまもなく夏休みに入る。そうすれば、なおさら会うことは難しい。

そもそも、僕は彼女に会って何を言えばいいのだろう。


「えーっ、シホ、振られたってマジ?」

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