クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!


「お邪魔して、申し訳ございません。美馬様。」

「いえ、屋代社長は先程お帰りになりましたが。」
「ええ、夫ではなく美晴ちゃんの事で…。」

「佳苗さん、どうかした?」

様子を見に、梓と美晴も玄関に姿を見せた。

「良かった、美晴ちゃん。無事だったのね。」
玄関先に立ったまま、梓と美晴の姿を見て佳苗がホッとした顔をした。

「佳苗伯母さん、どうしたの?」

「おばあちゃんが、物凄く心配していて…。」

「母さんが?大丈夫だって連絡したんだけど…?」

「美晴ちゃんの顔を見るまで、安心出来ないって言うのよ。
 だから、私がお義母さんの変わりに美晴ちゃんの顔を見に来たの。」

「じゃあ、これから連れて行くわ、今日は学校も仕事も休んじゃったし。」

佳苗は首を横に振ってそれを拒否し、美馬の方を見た。
「美馬さん、義姉(あね)としてお願いします。一度、梓と話をして下さい。」

「屋代専務…。」
「美晴は私が責任持って預かりますので、梓をお願いします。」

「チョッと、お義姉さん!」

佳苗は梓を無視して、ニッコリ美晴に笑いかけた。

「美晴ちゃん、伯母さんと一緒におばあちゃんの家に行こう。」
「いいよ~。」
「おばあちゃんが心配してるから元気なお顔見せてあげようね。」
「うん!」

おばあちゃん子の美晴は喜んで、佳苗に連れられて帰って行った。


「佳苗さんたら…。」

「俺たちに、気をきかせてくれたんだよ。」



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