図書館司書に溺愛を捧ぐ
私は18時半までの勤務を終え、図書館を出ると外のベンチで座り本を読む基紀さんを見つけた。

誰かと約束したのかな?とまた胸の奥が疼く。

でもあそこを通らないと帰れない。
意を決して基紀さんにさようならというだけのために近寄っていった。

私がそばまで来ると顔を上げ、話しかけてきてくれた。

「紗夜ちゃん、お疲れ様。今日見かけなかったけど仕事だって聞いたから待ってたんだ。今日ヒマ?」

待ってた?

「ヒマ……ですよ」

それを聞き破顔する基紀さんを見て私の心は高鳴った。

「紗夜ちゃんなかなか仕事で話せないからまたご飯に行こうかなって誘うために待ってたんだ。けど何時終わりかわからないからだいぶ読み進められたよ」

読んでいた文庫本の真ん中に指が挟まれており、それを私に見せてきた。

「ごめんなさい」

「謝ることないよ。勝手に待ってたんだし。でもさ、連絡先とか交換したらよかったなぁってこの前思ったんだよ。だから今日はそれも聞きたいと思ってさ」

「そうですね、交換してなかったですね」

基紀さんは立ち上がると、私を駐車場へ連れていってくれた。
食事のため場所を移動しよう、と助手席に乗せてくれた。

今日もおすすめのお店だという洋食屋さんに行こうという。
多分この前の時といい私が気後れしないように流行っているお店というよりは美味しいお店を選んでくれているんだと思った。

こじんまりとしているが家族連れが多く、ここのピザは絶品だと勧められ私はほうれん草とパンチェッタ、半熟卵ののったピザをオーダーした。
基紀さんはシーフードのピザを頼んでいた。
2人でシェアしようとサラダもオーダーした。
今日は車だから基紀さんは飲めないけど私は頼んでもいいよ、と言ってくれるけど1人では飲む気になれずスパークリングウォーターを頼んだ。

最初にサラダが届き、基紀さんがサーブしてくれた。
海外が長いからなのかレディーファーストが馴染んでる。
さっきの車もさりげなく誘導され助手席に乗せてもらい、ドアも閉めてくれた。
基紀さんの仕草を眺めていると声をかけられる。

「紗夜ちゃん、そんなに見られると手を滑らせそうなんだけど」

「ご、ごめんなさい。とりわけが上手だなぁって見入っちゃって」

「海外では男の人がやることも多いからね」

「基紀さん慣れてるんだね。なんか大人だね」

「こんなことで大人って言われてもなぁ。でも紗夜ちゃん、俺30過ぎてるから大人は大人だよ」

「そうだよね」

私たちは笑い合いながらノンアルコールで乾杯し、食事を始めた。

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