図書館司書に溺愛を捧ぐ
「似合うな」

「ありがとうございます」

アクセサリーをもらうのが初めてでとても嬉しい。ましてや基紀さんからだと思うと尚更嬉しい。

私の気持ちは高揚し、基紀さんとの食事も花が咲いたように話が弾んだ。

「明日からは何をするの?」

「土日は友達と会うけどまだ他は決めてなくて。毎年のんびり過ごしたりしてるので今年もそうなりそうです」

基紀さんはそれを聞き、なにやら考えてる様子で無言になる。

「あのさ、なら一緒に地元の花火大会に行かない?確か今週水曜だったよな?」

私はそれを聞いて固まってしまった。
いきなりで驚いてしまった。
なかなか返事ができないでいると基紀さんは頭をかきながら「ダメだよな」と笑っていた。
それを見て咄嗟に「行きたい」という言葉が私の口から出ていた。

「え?いいの?」

私は深く頷いたがそのまま顔は上げられなかった。きっと耳まで赤くなっていたと思う。顔は火照り、手にも汗が滲んできていた。一気に緊張が高まった。

「よかった。なら水曜日夕方約束しよう。その日は仕事も定時に終わるからさ」

ここで私はさっき梓と話していたことを思い出した。どうしても確認しなければならないことを……。

「基紀さん、基紀さんは付き合ってる人いますか?もしそういう人がいるなら花火もいけないです。申し訳ないから、幼馴染の私は無理言えないです」

あえて幼馴染という言葉を使った。

「俺?付き合ってる人いないよ。今はフリー。今は、というか正直ここ数年はいないよ」

「基紀さんならモテそうなのにどうして?」

「それを俺に聞くの?恋愛は1人じゃできないってことかな」

苦笑いをしながら教えてくれた。
そうだよね、1人じゃできない。
だから私とも恋愛じゃなく幼馴染として誘ってくれたんだね。勘違いしそうだった私を恥ずかしく思う。

「紗夜ちゃんは?彼氏いないの?こんな誘っておいて今さらだけどさ」

「いないです。初めての人はまだ人見知りの名残があって怖くて。仕事となるとなんとかなるんですけどね」

「そうか。ならお互いフリーってことで花火に行くか」

「はい」
 
明後日の夕方駅で待ち合わせることを約束し、私たちは店を後にした。

基紀さんの車にまた乗せてもらい、家まで送り届けてくれた。私はまた彼の車が見えなくなるまで見送った。
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