図書館司書に溺愛を捧ぐ
基紀さんのマンションは駅から直結しているところにあった。
昔は近所だったようだが今は一人暮らしでここに住んでいると教えてくれた。

地元の人はみんなここのマンションは高級だと言っている物件だったので私は驚いた。

手を引かれ部屋に案内されると、基紀さんの部屋は17階の最上階だった。

玄関は広く、大きなシューズクローゼットまでありファミリー用の物件に見える。
廊下を進むごとに照明が自動で付き、リビングへと案内される。
途中にある洗面所に案内されると私は鏡の前に立ち、腫れた瞼に驚いた。
アイメイクは夏仕様のものだったからかさほど落ちてないのが唯一の救いだったが両瞼の腫れは酷かった。

「紗夜ちゃん、こっちで一度飲み物出すよ。おいで」

「はい」

腫れた瞼はどうにもならず諦めてリビングへと戻った。

グラスにアイスティーが注がれており、飲むと少しだけ甘かった。
この甘さにホッとしていると保冷剤の巻かれたタオルを差し出された。

「紗夜ちゃん、そんな顔で家に帰れないだろ。ひとまず冷やすといいよ」

受け取り目を冷やすととても気持ちがいい。
タオルを当てながら「ありがとうございます」
というと「どういたしまして」と返事が返ってきた。

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