図書館司書に溺愛を捧ぐ
その後も季節ごとにイベントを企画してきた。

もともと読み聞かせなど子供に向けたことを中心にしてきたが、今まではそれ以上やろうと思ってもみなかった。

でも改めて図書館の仕事に向き合うと今までより少しだけ世界が広がった。
本の面白さをもっと伝えたい、色々なことに興味を持ってもらいたいと思った。

今はネットで調べたらなんでも分かる時代かもしれない。
でも子供たちにはまずは本を読んでもらいたい。簡単に答えを導き出すのではなく、本から想像を膨らませたり、世界観を広げて欲しい。
簡単に結論を導くことはいつでもできるけれど子供の頃だからこそゆっくり楽しめるものなのだから。
それに本からは色々な知識や知恵を与えてくれる。これからの人生の糧となることだろうと私は思う。
だから未来を担う子供たちに本を読んでもらえる活動をしたいと思うようになった。

そう思えるようになったのは基紀さんのおかげなのかもしれない。
あそこで一度立ち止まることができて良かったとやっと思えるようになった。

付き合えないと言った直後、あずさからは心底呆れられた。
やっとあずさに理解してもらえたが、それでも“ありえない”と何度言われたことが分からない。

私も強がらなければ良かった、と挫けた時に思ったことがあった。
でも寄りかかっていたらいつまでもお荷物だと思いながら生活することになっていたと思う。
彼に寄りかかるのではなく対等でいたいと願った自分を褒めてあげよう、そう思ってやっとここまで頑張ってきた。
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