苺にはもうなれない
何か、ちゃんと話さなくちゃ。

そう思っているのに。


私の口からこぼれたのは、
「……好きっ」
という、本心だった。



「別れようなんて言ってごめんなさい」
視界が揺れる。

涙が次々と頬を伝っていく。



優大くんは黙ったまま、両手で私の頬を包んで、グイッと持ち上げた。


優大くんと目が合う。


夕焼け空の瞳に、私が写っている。


子どもみたいにグズグズ泣きながら、私はもう1度伝えた。

「好きです」


この瞳に見つめられると、嘘はつけない。




優大くんは、
「もう別れようなんて言わないで」
と呟いて、私に優しくキスをしてくれた。














< 308 / 332 >

この作品をシェア

pagetop