地味子な私が猫被りな御曹司と無表情な同級生に溺愛されています。

「じゃあ、俺は帰るね。」

「あ。分かりました。」

その時だった。

私のスマホの着信音が鳴った。

「あ。スマホ!」

私スマホどこに置いたっけ?

と、音が鳴る方を見ると瑠斗さんが私のスマホをとっていた。

「あ。瑠斗さん。スマホ見つけてくれてありがとうございます。」

そう言って受け取ろうとして手を出すが瑠斗さんは鳴り続けているスマホの画面を見て固まっている。

瑠斗さん?

「あ、あの?」

私が話しかけても瑠斗さんは画面を見ているだけだった。

すると瑠斗さんはスマホの画面を押した。

え?

次の瞬間には瑠斗さんは低い声で

「この番号に電話するな。」

と、言った。

瑠斗…さん?

それだけ言ってスマホの画面をまた押して私に返した。

「る、瑠斗さん。今ので─」

「あいつと関わらないで欲しいな。」

と、言った。

あいつ?

「だ、誰のことですか?」

「……華杉 時雨。」

え?時雨くん?いまの電話は時雨くんからだったの?

私は何故瑠斗さんがあんなことを言ったのか。関わるなと言うのが。その事が分からず戸惑いを隠せなかった。

「……お二人は…知り合いなんですか?」

「……まぁね。ほら。時雨くんって華杉旅館の跡取り息子だろ?」

……え?時雨君が華杉旅館の跡取り?……知らなかった。確かに苗字は同じだけど…

「俺の家は、あいつの家のライバル旅館だからさ。」

……それだけ? なら、どうしてに辛そうな…悲しそうな表情をしているんですか?

私は気になったがそれは聞けなかった。


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