目覚めたら初恋の人の妻だった。
姉の本音
私だって好きだった。

隣に住んでる2歳年上のカズ君に柚菜よりも先に私が恋をしたのに・・・

カズ君の瞳に映る私は何時までも妹に向けるような色だった。

何時からだろう? カズ君の瞳が柚菜だけを映すようになったのは?
カズ君に抱っこされるのは何時だって柚菜だけだった。
どんなに私が手を拡げて抱っこを強請っても彼は柚菜を抱き上げた。
例え柚菜が望んで居なくても・・・

嵐の夜に不安で縋るカズ君の腕。
だけど左手は柚菜の右手を握り、右手は柚菜の頭を撫でていた。
その撫でている腕に縋る私にカズ君の瞳は向かない。

初めは幼い子供に対する態度だと思っていた。
誰よりも年下で、両家の庇護下にあるのが当然のように
生まれた時からお姫様のように扱われていた妹の柚菜。

気持ちは解る。
私だって初めて見た時に可愛くて誰にも触れて欲しくないと
思ったくらいだから。
その妹を想う気持ちが違う形に変化したのは妹が思いを口にする
事が出来るようになった頃からだろうか?
妹は常に『カズ君、だ~いすき~ 』『お嫁さんになるぅ~』と
言葉にしていた。
『うん うん』とまんざらでもない顔のカズ君に、胸がチクりと
した。
どうして私は妹の様に素直な気持ちを口に出せないのだろう?
それはきっと妹が幼いから好きの言葉を理解していないから
簡単に口に出せれるんだ・・・そう思っていた
いや、そう思う方が楽だから・・・納得させていた。
本当はカズ君に拒絶されるのが怖かった。
だって、カズ君は柚菜しか見ていない事に本能で感じ取っていたから

それに気がつかないフリをし、その愛情は妹に向けるモノと同じだと
信じ込むことで大丈夫と言い聞かせ、自分を欺むく。
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