STRAY CAT Ⅱ
第6章 タイトル未定







「おねーちゃんおねーちゃんっ」



「どうしたの? 蒔」



「丸つけしてほしいっ」



12月31日、大晦日。

これがもし蒔との二人暮しだったなら今頃家中の大掃除をしているところだろうけど、生憎ウチには優秀なお手伝いさんたちがいるわけで。



常にピカピカの家を、特別掃除することもなく。

リビングのソファで寝転がっていたら、冬休みの宿題を抱えた蒔が駆け寄ってきた。



「丸つけ? もう全部終わったの?」



身を起こし、その手から宿題を受け取る。

丸つけが必要なのは、『ふゆやすみの宿題』と書かれたこの紙の束。たしかに、最後のページまでしっかり書き終わってる。




「いいわよ。赤ペン取ってくるわ」



ぽんぽんと、蒔の頭を撫でる。

ちなみに大晦日でわたしも休みだし、ご飯だって自分たちで作れるからと、お手伝いさんたちにも今日は休んでもらっている。



お父さんは忙しくて今も家にいないけど、大晦日の大定番、大人気のバラエティ特番がはじまるまでには帰ってくると言っていた。

……たぶん、笑っちゃダメなやつよね。



お父さんそういうの好きそうだしなぁ、なんて。

ひとりで思いながら自室にもどってペンケースを手に取り、不意に思い出してスマホを開く。



果歩やリカちゃんからはメッセージが来てるけど、恭からは特に何も来ていない。

……仕事、休みのはずなんだけど。



距離を置こうと言われたら、

わたしから連絡していいのかどうかも分からない。



あとで返事しようと決めて、リビングにもどる。

大人しく座っている蒔の隣で、こたえを開いて丸つけを開始した。



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