闇夜ヨルの恐怖記録 3
きっとこの気持は自分にしかわからない。


好きだった人が目の前でドロドロの液体になって消えて行くなんて、経験した人じゃないとわからない。


「ねぇアリス、しっかりして?」


「キユナにはわからないよ。私の気持ちなんて!」


「そうだね。今はまだわからないかも」


その言葉にひっかかってアリスはキユナへ顔を向ける。


キユナは今にも泣き出してしまいそうな表情になってアリスを見つめていた。


どうしてキユナがそんな顔しているの?


質問するまえに、キユナが口を開いていた。


「ねぇアリス。アリスは自分の家を覚えている?」


「え?」


突然何を言い出すんだろう。


いくらなんでも自分の家くらい覚えている。


バカにされているのかと思いキユナを睨みつけたが、頭に浮かんでくる家はひとつもなくて混乱した。


普通、暮らしている家くらいすぐに脳裏に浮かんでくるはずなのにいくら思い出そうとしてもなにも思い出すことができない。


「家はどこ? 学校は? 私以外の友達は?」


「ちょっと待って一気に質問しないでよ」
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