若旦那の恋は千鳥足
(あぁ、重い。
ちょっと買いすぎちゃったかな。
でも、こんなに安くて新鮮だったんだもん。買わなきゃ損だよね。)



両腕に食い込む荷物は重いけど、私の心は満ち足りていた。
本当は、気に入った夏服でもあれば買おうかな?って軽い気持ちで来たのに、たまたま催事コーナーで産地直送の野菜や果物の販売をやってて…
みんな、新鮮で美味しそうだったから、私はそれらにモーレツに引き寄せられて…
気が付けば、私は両手いっぱいの荷物を抱えてた。



(とにかく、一休みしよう。)



このショッピングセンターには、お気に入りのカフェがある。
内装がすごくおしゃれで、広さの割にテーブルの数が少ないから落ち着けて、紅茶やスイーツがとても美味しいお店だ。
そこで、ロイヤルミルクティーとアップルパイを注文して、まったりしよう。
ベルガモットの香りが爽やかなロイヤルミルクティー、そして、バニラアイスがじんわりと溶けだすアップルパイ…
頭の中にそれらを思い描きながら、私は待ちきれない想いでカフェに急いだ。

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