天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~
青い衣に白い簪。やっぱり月影にぴったりよ!
着替えると、まるでどこぞの貴族ね。
それから次に歌舞伎茶屋に連れて行った。
「ここは?」
「ここは歌舞伎茶屋。劇を見ながらお茶を飲めるの」
「そうか…」
中に入ると月影は目を輝かせて劇に見入っていた。
大人なのに表情は幼いわね。
月影は水のような人だった。
ほとんど穏やかで文句も言わず静かだ。そしてたまに目を輝かせて色々な表情を見せる。
紅蓮にも、もう少し可愛げがあれば…いや、あるか。
字を褒められて照れたり不器用に、おにぎりを作ってくれたり。
重症だわ。こんな時でさえ紅蓮を思い出すなんて、よっぽど好きなのね。
「白蘭。劇が終わった」
「あ、ほんとね。それよりだいぶ暗くなったわね」