天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


五日も…。


「白蘭!!」


部屋に入ってきたのは雪梨様だ。

いつもの冷静さや厳格さを捨て走り寄ってきた。


「傷は痛みますか?」

「雪梨様…」


あの雪梨様がうっすら涙目で心配そうに聞いてくる。

親のように心配する雪梨は白蘭にとっては、もう母上同然だった。


「そなたと紅蓮様が魔宮に運ばれたときは、それはもう大騒ぎでしたよ」

「あ、紅蓮は?」

「白蘭、寝ていなさい。紅蓮様は無事ですよ…ただ少し問題があって」

「なんですか?」


雪梨様が黙るので香林に視線を移す。


「皇太子殿下は玲心様と婚約破棄を。魔帝と魔后は大変お怒りで…」


紅蓮が、玲心と婚約破棄…!?



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