天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


白蘭を正室にしたい。

この娘は魔宮の勢力争いなどに巻き込みたくない。

それなのに、白蘭の家族を殺すわけにはいかぬ。

何もできない自分に腹が立ち悔しく涙が出る。


「すまない。すまない白蘭」


何度も謝る私を白蘭は暖かい手で包み込み抱きしめてくれる。


「いいのよ紅蓮」


誰かに話しを聞いたのか察したのか、白蘭は言った。


「私言ったでしょ。正室でも侍女でもいいって。あなたがいればなんでもいいのよ」

「白蘭」

「何を泣いているのよ。私たちは何も変わらないわ」


いつもの言葉に安堵する。


< 187 / 276 >

この作品をシェア

pagetop