天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


最後だからいいかな。


「…紅蓮を…紅蓮を呼んできてほしい」

「…わかったわ」


来てくれるかどうかはわからない。

もう玲心との未来を考えている身として過去の私には会いたくないかもしれない。

玲心が出て行きしばらくした後、聞きなれた足音が聞こえた。


「紅蓮っ。紅蓮なの?」


目を開けると、そこにはあの愛しい鳳凰の姿があった。

紅蓮は私の側にきたが、もう手も握ってくれないようだ。


「紅蓮…私、あなたをずっと待っていたのよ」


涙が出た。父上達が死んでどれだけ悲しかったか。あなたを待つ日が多くなる度どれだけ心を痛めたことか。

白蘭のそんな様子にも紅蓮は動じなかった。


「最後に行きたい場所はあるか…?」

「行きたい場所…」

「最後を迎える場所は選ばせてやろう」


紅蓮とならどこでも良かった。

迷う私に紅蓮は口を開いた。


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