金曜日はキライ。
トクベツな日。



ほんのさっきまで晴れ空から強く降っていた雨の線が、少しずつ弱々しくなって空にあがる瞬間。

空気がシャワーで洗われて、パリッと新しくなったような、この感じがたまらなく好き。


景色を映す水たまりを踏んずけて水面を揺らしながら、真っ赤な傘を閉じて、小雨になった空を見上げる。

顔にぽつんと水が落ちてきたのを感じて、そっと目を閉じた。


そういえばあの日もこんなお天気雨が降っていたことを思い出して思わず笑みがこぼれた。


ねえ、常盤くん。


へんてこな呪文でも、指先から放つキラキラパワーでも、地球に住む全員から微小のチカラをもらってやっと使えるエナジーでも、なんでもいい。

もしも魔法が使えるのなら、全部ぜんぶ、きみのために使うよ。


バカだよね。こんなことばっかり真剣に考えちゃうんだ。

だってきみが笑ってくれたら、世界は今よりも遥かに眩しく光りきらめくと思うの。


まともに話せたこともないクセにおかしいかな。

常盤くんのことが、好きです。優しい瞳をしているところが大好きなんです。


周りにたくさんの人がいるのに、その誰にも弱さを見せないように頑なな姿は少しいじらしい。

きみが泣いたらきっと力になってくれる人はたくさんいるのに、どうして?


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