スパダリ外交官からの攫われ婚
「私が開けてもいいんですか? 真智さんからの結婚祝い」
「ああ、俺は興味ないし。どうせアイツの事だからくだらない物でも……ん?」
そう言われて琴はウキウキとラッピングされたリボンを解く、ふわりとリボンが落ちでその袋の中身を確認しようとした。その瞬間、琴が手に持っていたはずの袋が取り上げられる。
「え? 志翔さん?」
「ちょっと待て、俺が先に確認する」
少し焦った様子の加瀬に琴は首を傾げながらも、彼が袋の中身を確認するのを待つことにした。手を入れ中身を出すと何か可愛らしいボトルが二つ。それを持つ加瀬の手が震えて見えるのは琴の気のせいだろうか?
香水だろうか、それとも化粧水? そう思って琴はそれに手を伸ばす。
「触るな!」
そう大きな声を出され、思わず琴は伸ばした手を引っ込める。加瀬がこんな反応をするなんて思ってもいなかった彼女は、自分が悪いことをしたのだと思いすぐに謝った。
「すみません、私また何か余計な事を……」
「違う、さっきのは俺が悪い。琴が駄目なんじゃなくて……ああくそ、真智の奴!」
そう言って加瀬は持っていたボトルを袋に戻してゴミ箱に突っ込んだ。どうやら真智からの結婚祝いについてこれ以上訊ねない方がよさそうだと判断し、琴は黙って笑っている事にした。