突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り


 雨が降らない予報だったので、傘なんて持ってきてない。


 「どうしよう……」


 迫力のある大きな積乱雲に圧倒されて、その場から動けない。

 しかも、よく見てると私の方に近づいてくるような感じ。


「バス停までは、もうちょっと歩かないとだけど……」


 などと考えてる最中、肌に水滴がポツポツと当たり始めた。


「うそっ! ちょっと早くない!?」


 遠くで雷鳴が響く。

 ゴロゴロと不気味な低い音が、嫌でも私の耳に聞こえてきた。


「とりあえず、バス停に行かないと……」


 さらに湿度が上昇……というより、霧に近い感覚。

 というか、霧雨と風が私に向かってくる。


「突然すぎるよ! 朝は晴れで、さっきまで薄曇りだったじゃない!」


 スカートの裾がヒラヒラ靡き、制服もしっとり濡れてきた。

 足や腕、顔に当たる霧雨。



 私は覚悟を決めて行動に出た……





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