突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿り


 道路が黒く濡れる程度だったのに、水たまりができ始めた。


 雨風を防ぐアクリル版にも、バラバラと雨粒が打ち付けてる。

 周囲に響く雷鳴を耳にして、私は思わず顔を上げた。

 空は濃い灰色の雨雲で覆い尽くされ、太陽は姿を隠す。


 椅子に座る私はグッタリうなだれ、30分後に到着するバスを待つ。

 湿って重くなったローファーを脱ぎ、紺ハイソも脱いで雑巾しぼり。

 そのままベンチ椅子の上において、乾くのを待つ。


 素足のまま湿ったローファーにつま先を入れ、両足をブラブラ交互に揺らしてみる。


「は~あ、早くバスこないかな……」


 溜め息をついたところで、朝クラスメイトの子に言われた話を思い出した。


「溜め息をつくと、幸せが逃げていくんだっけ……」


 そう呟きながら目線を下げると、ブラウスが濡れて地肌が透けて見える事に気づく。

 紺色のサマーセーターを着てるので、半袖の両肩あたりが肌に密着してる程度。

 そんなに、びしょ濡れじゃなかったので見られてもセーフだよね。


「そうだ、タオル持ってきてたんだ!」


 陸上部だったころから、普通サイズのタオルは無意味に持ち歩いてた。

 というか、勉強に関係ない物を鞄に詰め込んである。


 タオルを取り出し、髪の毛先に押し当て水分を取り除く。

 そして……



 雨降りで周囲に人の気配がないのをいい事に、私は大胆な行動に出た……





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