ラブ・ボイス
その時の記憶はほとんどなくて、
多分、人生で一番緊張していた。
終わった後、
「美優さん!」
真っ先に駆け寄ってきたのは、八田さんだった。
「君の声、最高だよ!」
いきなり、力強く抱きしめられる。
大人の男性に抱きしめられるなんて初めてのわたしは顔を真っ赤にした。
「あっあの…」
「プロデューサー、それ、犯罪ですよ」
スタッフの人が注意してくれて、八田さんはごめんごめんと謝ってきた。
「やー、あまりに良すぎて、思わず感動して涙が出たよ」
「そ、そんなですか…」
今まで、歌のことを褒めてもらった経験のない私は戸惑いながら、翔を探していた。
翔の姿が見当たらない…。