フォンダンショコラな恋人
「まあ、あの辺、法律事務所も結構集まっているからな。事務所から翠咲の会社までは歩いて行けるな。でも、路線が違うし電車だと乗換があって面倒だろ。それに今日はそんな格好だしな」

「あ……。あの、ごめんなさい」
そんな格好とは浴衣のことだろう。
電車でも近い距離なのに、翠咲のためにタクシーを拾ってくれたのだ。
それが分かって思わず翠咲は頭を下げてしまうと、隣の倉橋から軽いため息の音が聞こえた。

「そこはお礼の方がうれしいかな」
「そうだよねっ。あの……ありがとうございました」

「ん。いいよ。可愛いしな。それに似合っているから」
そう言って倉橋はふわりと翠咲の頭を撫でた。

そんな仕草にも翠咲はどきっとする。
倉橋が翠咲に気を使ってくれるから。

まだ倉橋のことはよく分からない事も多いけれど、なんとなく翠咲には甘いような気がする。

倉橋はコンビニの前でタクシーを降りた。

「家に何もないから飲み物とかつまめるものとか買っていこう」
「はい」

「翠咲は何飲む? ビールとかでいいか? 少し甘めのものも買うか?」
飲み物の棚の前で2人であれこれ吟味する。
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