フォンダンショコラな恋人
「まあ……」
なんか、言い出した……。

「そういえば、君は禁固刑の最中だったね?」
なんだか急に楽しそうな陽平だ。

「翠咲、キスしてくれる? 君から」
「……はい」

翠咲は間近にいる陽平の肩にそっと手を添えて、自分から顔を近づける。

陽平の顔は近くで見ると、恥ずかしくなってしまうくらいに整っていて、いつもの無表情よりも楽しそうに、近づく翠咲をじっと見ていた。

「もう! 目とか閉じてください!」
「はあ? 照れている翠咲が可愛くてそれが見たいのに目を瞑るとかないだろう。それに僕はキスしている最中も、君をしっかり見ていたいんだけど」
え?怖いんだけど。

「視線を絡ませてキスしたことないのか?」
「え?」
「いいか、そのまま目を開けていろよ」
視線が絡まったまま、陽平は翠咲の頬に手を添える。

顔を動かせないし目線も逸らせないし、恥ずかしくてつい目を瞑りたくなってしまう。

「翠咲……逸らすな……」
そう言う陽平の息が唇にかかる。
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