フォンダンショコラな恋人
困った時に、困った人に。
実際にそれができるのは、北条たち営業が頑張ってくれているからだと翠咲は分かっている。

『そう言ってもらえるとなんだか、頑張れるな。翠咲って……なんかどんどんいい感じになっていくよな』
「いい感じ?何言ってんだか、もう」

『いや!マジでさ。俺……ちょっと前から聞きたいことあったんだけど』
「ん?」

『翠咲ってあの弁護士と付き合ってんの?無表情の』
ごほッ!!!

──こいつは仕事中になんてことを?!

「いやっ、えー?うん。まあ、一応」
『ふーん?あいつ、花火大会んときも、すげーモテてたじゃん?』

それに関しては本人からも自己申告があった。
あの綺麗な顔に、弁護士というスペックがついてくるのだ。ある意味当然なのだろう。

「そうねー。モテるみたいよ?」
『余裕だな。それってあいつのことどうでもいいから?それとも私が彼女って自信があるから?』

北条の背後が先ほどまで人の気配でざわついていたのに、電話の後ろがしんとしている。
人のいないところに場所を移したんだな、ということが分かった。
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