フォンダンショコラな恋人
そしてある日、名刺交換をした担当者が名刺に個人携帯を記載して寄越した。

「相談があったら、ご連絡したいんですけど」
「では、書面で詳細をください」
「……いえ、そうではなくて個人的に……」
個人的に相談。

「契約は会社との契約なので、個人的な相談はお受けしていないんですが。もし、ご相談されたいなら、僕も事務所に確認を……」
「違いますよぉ……。もう、いいです」

こっちが真面目に回答しているのにもういいですとは、少し失礼な人だな、と思い事務所に帰ってその話をしたら、渡真利に爆笑された。

「お前それは、逆ナンだろ‼︎」
「逆ナン……」
ん?それは逆ナンパ、とかいうやつか⁉︎
しかも『パ』しか略されていないんだが、それ略す意味あるか?!

「相変わらず自覚ねーなー。お前さあ、そこそこ綺麗な顔してんだよ、本当に。なのに、その割り切った性格。そして、その恋愛系のアプローチからのとことんのニブさ。ウケる! 個人的な相談、で気づけよ!」

「気付かないでしょう、普通。相談と言われれば相談かな、と思うじゃないですか」
倉橋はその綺麗な顔に呆れの色を浮かべた。

「まあ、担当者は女性もいるから気をつけてな。今回はそんなんで終わったからいいけどセクハラされたとか言われたら困るから。怪しい感じなら最初から上司を同席させた方がいい」
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