フォンダンショコラな恋人
この人にとっては、この淡々とした感じが自然体なんだ。
そう思うとなんだか急に納得できてしまった。
倉橋の数々の行為が。

「ごめんなさい」
翠咲は謝る。

「はい?」
「感じが悪いとか言ってしまってごめんなさい。感情的になってしまっていたかもしれません」
「ああ」

ホテルは目の前だ。
ロータリーにタクシーが入り、スピードを落とす。

翠咲の目には別の空車のタクシーが目に入っていた。
精算をして、倉橋は宝条と車を降りる。

「どうして、こんなところに連れてきたんです?」

煌びやかな玄関、オシャレなドアマン『山手ホテル』といえば高級ホテルなのだし、倉橋が誘えば翠咲でなくても、どんな女の子でも着いてくるだろうに。

よりにもよって私でなくても、ねぇ?

「君が僕のことを嫌いだと言うし……それに、話をしなければと思って」
「私はあなたが私のことを嫌いなのだと思っていたので」

「そんなこと、いつ言いましたか?」
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