フォンダンショコラな恋人
「なります!」

「じゃあ、補佐についてもらうっていうていで、勉強してください。実際ね、よくあるけど、たまにしかないし関わることは経験にはなると思うからね」
「それって……美味しいとこどりにならないですか?」

「っふ、ははっ、どこが? 誰が訴訟案件に関わりたがるの? 宝条さん、ホント真面目だな。普通は課長に押し付けられた、ラッキー! って思うもんでしょ。手伝ってと言われて、美味しいと言われるのは……君、真面目が過ぎるよ」

くつくつと、課長は肩を揺らしていて、なんだか翠咲はいたたまれなくなった。

「いいんです。これが課長の仕事だし、僕には経験もあります。それにこの後、弁護士チームと打ち合わせがありますからね。僕も彼らと仕事をするのは、ま、たまにはいいかなと思うので」

「この後、打ち合わせなんですか?」
「渡真利先生は、スピード感のある方なんでね。宝条さんも、そこの先生と相談されていましたよね。あれ? 渡真利先生には会ったことない?」
「な……いです、多分」

そう翠咲が言われて、ふと思い出すのはあの冷酷な倉橋弁護士の姿だ。

これから、打ち合わせなのか……。
どんな風に思われるのかと思うと、気が重い。
「そうか。いい先生だよ」
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