すみれの人生
序章
ここには【ほとんど】何もなかった

空間なのかすらも怪しく、ただただ黒い
その印象だけであった
人がいなければ人の存在すらも感じられない

そんな場所で
かろうじて意識はある、だが意志はない
それもそのはずだろう
ここに存在出来ているのはわたし含めて人になれなかったもの、人の形をした人ならざるもの【ソレら】が蔓延るセカイであったから
まぁセカイではあるが世界ではない。

『人は青で終わり赤で終わるという』
例外はあるものの大体の人間はこうである
要は理である

私は青から始まれなかった
故に何もないところにいる
閉じ込められてるわけでもないが自分でここから出れることはない
何故ならば先程言ったように意志はないから意志は体を動かす動力言わば心である
私は心もなければ動かすための手足も体そのものの概念がない



意識はあるといったがこれが意識と言えるのかは私には分からない。
ここにいる人になれなかったものは基本的にそうであり、私も例に漏れない。
そこに醜い欲や願いなどないが、ただ1つ望むなら綺麗な……何にも変えられない、唯一の綺麗な蒼が見れたらと思う。
時間の流れを感じさせないところではあるが最近は特にこんなことを意識するようになっている
今このように話してはいるが会話は相手がいて成立するもの相手がいない状態ではただの独白にしかならない。
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