辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

 エレナは少し言いにくそうに、そう打ち明けた。確かに、パッと見のセシリオはいかにも軍人風の風貌をしており、多くの貴族令嬢から見ると近寄りがたいだろう。でもそれは、サリーシャにとっては都合がいい。セシリオが貴族令嬢に大人気になったら、サリーシャは気が気で無くなってしまう。

「では、わたくしは殿下の瞳と同じ空色にするわ。これで色は決まりね。後でデザイナーを呼ぶからサリーシャ様も同席してくださいませ。身長もサリーシャ様の方がずっと高いし、全く同じというわけにもいかないでしょう? ちょっと位はアレンジした方がいいと思うの。ふふっ、仕上がりが楽しみだわ」

 立ち上がったエレナは、近くにあった空色のシルク生地を引っ張り出して胸に抱くと、くるりとスカートの裾を揺らして振り返る。そして、サリーシャの顔を見つめて満面の笑みを浮かべた。
 

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