政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「どこで得た情報かはあとで問わせてもらうとして、どんな始まりであれ、千波とは今は互いに愛し合っている。それに夫婦の問題を他人のキミにとやかく言われたくない」

 怒りを含んだ口調で話す航君に、神屋敷さんの表情が歪んだ。

「その女も航さんも可哀そう。あんなバカげた言い伝えがなければ、あんたの父親は事業を失敗させて借金を背負うことも、航さんが肩代わりすることもなかったのに」

「えっ? どういうことですか?」

 言い伝えがあったから父の経営する旅館が破産したっていうの? そんなわけないじゃない。
 だけど神屋敷さんは鼻で笑った。

「あなた、本当になにも知らないのね。それじゃあまりに不憫だから教えてあげる。お父様とあなたの父親は旧知の仲だったの。よっぽどお父様を信じていたんでしょうね、私のお願いを聞いてくれたお父様に持ちかけられた、嘘の投資話に乗っかって、旅館を倒産させるほど借金を背負っちゃうんですもの」

 な、にそれ。神屋敷さんが言っていることは本当なの?

 にわかには信じがたい話に微動だにできなくなる。それは航君も同じようで、信じられないと言いたそうに神屋敷さんを見つめていた。そんな私たちに神屋敷さんは可笑しそうに続ける。
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