私は天使に侵されている
健悟が来夢に電話すると、もう既に着信拒否されていた。恐らく美麗のとこだと思い、急いで向かう健悟。

健悟がファミレスに向かうと、来夢はまだ仕事中の美麗に甘えていた。

「美麗~僕……一人ぼっちになっちゃった…」
「来夢…」
「寂しい…」
美麗を横に座らせ、抱きついていた。
美麗は来夢の頭を静かに撫でていた。

「私がいるよ」
「うん…美麗は、僕から離れないでね……?」
「うん」

「来夢!!」
「健悟」
「健悟くん!」
健悟が、二人の元に向かう。

「ごめん!!来夢。
許してくれ!!俺が悪かった!
もう二度と“親友”やめるなんて言わないから!」
健悟は深く頭を下げ、必死に謝る。
「………」
「来夢?健悟くん、謝ってるよ」

「もう…間違わないって誓える?」

健悟が少し顔を上げると、来夢が見据えていた。
鋭い視線。
その中に、言葉にできない圧力があった。
“もう二度と、僕に逆らうなよ”
と言っているようだった。

「誓う」
静かに、でも力強く言うと“フッ…”と微笑んだ来夢。
「わかった。杉宮に連絡しておく」
と言った。

「なんだかよくわからないけど、良かったぁ!
仲直りしてくれて……!
健悟くんも座って?
私がなんか奢るから、来夢の相手してあげて?
私、まだ仕事中だから……」
「あぁ、わかった」
そう言って健悟は、来夢の向かいの椅子に座った。

その姿に安心した美麗は“じゃあ、仕事に戻るね”と言って席を離れたのだった。
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