たぶん、きっと、すき。
プロローグ
ただ怖かった。
何がと聞かれたら、全部と答えてしまうくらいに。
目に映るもの全てが怖かった。
あの頃の私は、
どうしようもなく弱い人間だった。
壁を作って、
近付く者を拒んで、
一人の殻に閉じこもっていた。
そのくせ、
一人になるのが嫌で、
他人に執着して、
依存して。
どこにも行けない、
何もできない、
何にもなれない。
そんな私は、
あの日、
彼と…彼らと出会った。
< 1 / 74 >