たぶん、きっと、すき。
げっ。
最悪だ。
よりによってメンタル死んでる時にこいつに会うのかよ。
弟は俺に一瞬視線を向けるもすぐ視線を逸らしチンタラと靴を履く。
「さっさとしろよ。入れねえじゃねえかよ。」
イライラする。わざとちんたら履いてんのが伝わってきたから。俺の言葉に弟は鼻で笑った。
「あ?何笑ってんだよ。」
「ダッサ。」
弟は笑いながらそう吐き捨て玄関を出た。
ガンッ。
俺は苛立ちを抑えきれず靴箱を蹴る。イライラした気持ちを抱えたまま部屋にこもり、ベランダに出る。そして、タバコに火をつける。
ふと、さっちゃんの顔が浮かんだ。
困惑したように俺を見つめるさっちゃんの顔。
自嘲気味に笑う。
タバコ吸う男、さっちゃん嫌いそうだな。おまけに見た目チャラいし、顔は下の下。高校中退して、一応通信で高認はもらったけどその後行った専門も中退。就活するも学歴で落とされまくって心折れて今はフリーター。
頭が良くてちゃんとしてる弟と比べられ、挙げ句の果てには親からも見放され、家で孤立。好かれる要素なんてマジで一つもないな。
あーあ、人生ハードモード。
タバコを吸い終え、俺は不貞寝をきめこんだ。
ラインの通知音で目がさめる。
まだぼーっとした状態でスマホを手に取り、ラインの内容を確認する。
そしてその内容を把握した瞬間目は覚めた。送り主は津本さんだった。
『今日帰り本屋で松田さんに会ったよ。ついでにライン交換した。』