制服の下(に何があるのか考えた結果)

第25話 今日其漆

ベッドで横になったまま
あいつの服は俺の涙で崩れた
しゃくりあげる 俺は
そういや前も泣いたな なんて思い出していた

「瓜生、泣き止んだらでいいから」
涙にあいつの声が重なる
「僕の名前を呼んで」
思いがけない言葉に止まる涙

「お前、それが今大切か?」
俺は少し鼻をすすった
「大切だよ。名前を呼んで」
改めて言われるとなんだかな

散々泣いた恥ずかしさと
名前を呼んでというおねだりに
俺の顔は
クーラーを無視していた

「瓜生」
それ以上は何も言わない 事で
俺に名前を呼べと急かす 焦る
秒針の音が聞こえなくなる

「空木」言えたか俺は
「もう一回」言えなかったのか
「空木」今度はちゃんと
「もう一回」わかった次は

「空木」の薄い唇は
「もう一回」今夜はよく動く
「空木」この言葉は届いているのか
「もう一回」ああ届けてやるよ

「空木」の顔を見ながら
「もう一回」って俺の顔を包む冷たい手
「空木」の両手に自分の手を合わせる
「もう一回」って言う唇に

「空木」と
「もう一回」と
「空木」は
「もう一回」と

何度繰り返しただろう
ただ
いつまでも
続けたかった

ベッドの上の二つの魂は
確かめるように声を重ねた 束ねた
続けられないと
知っているから
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