冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
『くりぃむの森』から結婚準備のための連続休暇をもらい、翌日に東京で瀬川さんのお父さんとも面会した。
背が高くスマートなおじさまで、瀬川さんが言っていた通り『おめでとう』と祝ってくれるだけで反対などしなかった。
役所に婚姻届を提出し、合意から一週間で私たちは夫婦になることができた。
……なんだか、あまりに簡単だ。結婚ってこんなにすぐにできるものだっけ。
簡単すぎて、結婚をした実感がない。
私はこれから瀬川芽衣として生きるのに、彼のことを「瀬川さん」と呼んだままだし。
「明日、取引先のパーティーに呼ばれているんだが、一緒に来てくれないか」
「……え!」
「結婚したのならぜひ妻を連れてこいと言われてしまった」
リビングで暇をもて余していたとき、唐突に彼が言った。
瀬川さんは一匹狼のように見えるから、パーティーなどに顔を出している姿が想像できない。
しかし若手を代表する社長さんでテレビでの仕事もしているんだから、そういう華やかな世界に呼ばれて当然だろう。
一気に不安になってきたが、これこそ奥さんとしてお役に立つべきときだろうと思い、「私でよければ」とうなずいた。