思っていたのと 違うのですか‼︎

2-1


智が忙しければ私も忙しいわけで。

月に一度ないし、2ヶ月に一度日本に戻る生活を送る羽目となる。

行きっぱなしの智よりはマシと自分に言い聞かせて、気付けは1年が過ぎていた。


「えっ!それって不味くない?」
「だよね」
「内々で済む問題じゃないよね」
「でも・・・」

久々に社に出社すると、根津と女性社員がただならぬ雰囲気で話している。


「何かあったんですか?」

今日は智が帰国してくる日。

ゆっくりしている暇はない。

それでも、あくまで冷静に威圧せず、話しかける。

私が話しかけた事に、驚いて黙る2人。

「い、いえ。なんでもありません」

冷静を装いつつも、少し強張った表情で根津が答える。


「葉山さん」と別の社員に根津達の後ろから声を掛けられる。

視線を根津からそちらに向ける。

根津達がホッとした顔をした。

「社に関わる事でしたら、なんでも話して下さいね」

微笑むと、「はい」ハートが飛ぶ。

普段からこれだけ扱い易ければいいのですが。

ため息を小さく吐き、私を呼んだら社員の元へ行く。


後ろで
「ちゃんと報告しなよ」
「でも、見たってだけじゃ」
「何かあってからじゃ遅いんだからね」
と話す声が聞こえる。

面倒事は勘弁して頂きたい。

< 65 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop