朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「朝倉さん? 」

突然後ろから声をかけてきたのは、HASEGAWAの社員だった。確か名前は……。

「……山根さん?
お疲れ様です。バームクーヘンのモザイク画、凄いですね!
これ皆さんで作られたんですよね」

「確かに俺と加藤で組み上げました。
でも、全てのアイデアと総指揮は京ですよ。
あいつの頭の中、覗いてみたいな。
よくこんな事考えついたと感心してます」

「あ、ありがとうございます!!」

嬉しい!
仕事仲間に京のことを褒められる程、嬉しいことはない。

開催前夜からHASEGAWAのブースには取材が殺到したらしい。
各TVのニュースで取り上げられると、必ずHASEGAWAのブースのショットから始まるそうだ。
つまり、それはこのブライダルフェスティバルの顔になっているという事。有難いことだ。

「京ならショーケースの前にいますよ。
朝倉さんが来たって知ったら喜ぶだろうな。
……あの、後ろの方は……」

気まずそうな顔で、真を気にしてくる。
ひょっとして、私が男連れでここに来たと思ったの? 有り得ないって!

「兄です」

「え」

「……妹と京がいつもお世話になっています」

「あ、ああ! お兄さんでしたか。
わざわざこんな遠いところまで一緒に、ありがとうございます」

あーこの感じ、確実に真の方が年上だと思われてるわね。実際には、この山根さんの方が年齢は上だと思う。
真が気にするからここはサラッと流そう。
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