朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
ショーケースの中には、正絹の子風呂敷で御化粧したバームクーヘンが並んでいる。
綺麗だわ。お菓子が大切にされている。

何故だかふと、初めて京にもらった小麦粘土のお菓子を思い出した。
一つ一つに込められた京のこだわり。
菓子への愛情。あの頃から変わっていない……。
ここにもまた、京の愛情が感じられる。

「京、どのお菓子もすっごく大切にされているのが伝わってくるわ。本当に素敵」

「そうか!
泉にそう言ってもらえると1番嬉しい」

フフフ、久しぶりに京の後ろにパタパタと動くしっぽが見えたような気がした。

「山根さん、ちょっと離れてもいいですか?」

「ああ。せっかくだから案内してこい。
加藤もそろそろ戻る頃だろうし、ここは俺一人で大丈夫だ」

「すみません。
何かあったらすぐ連絡ください」

京がブースを離れて案内してくれる事に。

「この奥が衣装コーナーで、バンクロのブースもある。
かなりの数のドレスを展示してる。
めちゃくちゃ広いよ。撫子のところはその横だ。バンクロに比べるとこじんまりしてる。
一つだけうちのバームクーヘンを置かせてもらっているんだ」

きっとあの飛行機柄の打ち掛けの横だわ。
楽しみ〜。

「で、話題になってるドレスがあるんだ。」

話題になってるドレス?

「見ればわかる。」

そう言って、京はどんどん進んでいく。

人混みを縫うように歩き、かなり進んだところで視界が広がる。
衣装コーナーに到着したようだ。

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