朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「私はナコの髪が羨ましい。
ふわふわの柔らかい髪って、憧れる。
アレンジをしても可愛いよね」

「天パなめんなよ。朝大変なんだからね。
泉みたいに、ブラシで解いたらすぐ外に出られるわけじゃないの。細い髪が絡まって毛玉もできるし、大変なんだから!」

そうか……。そういう手間もあるのか。
でも可愛いから私なら手間を惜しまないけど。

撫子はわたしと違って、小柄でふわふわのくせ毛が可愛い、とってもキュートな女の子だ。色白で小さな顔でまん丸な目も、全てが可愛い。

呉服屋さんの娘なんだけど、ふわふわの髪をゆるく上げて着物を着ると、とっても似合うのだ。

それに、着物を着ていても、ピンと伸びた背筋が格好よく、撫子はとても優雅に見える。

でも、無い物ねだりなんだよね。全てが反対の私……いや、イズミが憧れらしい。うまくいかないものだな。

「あの残念王子と、そこの趣味だけは合うのよねー」

「も〜ナコ! なんてこと言うのよ〜」

これこれ。撫子はこの可愛い容姿で、かなりの毒舌。大抵の男子は……いや、女子もか。撫子には負ける。

「本当のことじゃない。HASEGAWAの御曹司で、あの王子様ルックス。しかもユリウス・ケイそっくり。
なのにフィギュアオタクってねー。
………痛いわ」

「う……まあ…確かにフィギュア好きだけど。
残念なんて言ったら可哀想よ? 
見せたでしょう? 本当に上手なのよ?」
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