朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「ちょ、ちょっと……プッ…」

吹き出しかけた私を泉が肘で突く。

「ナコ! もう〜せっかく譲ってくれたんだから!」

私にしか聞こえない声で泉が咎めてくる。
でも待って。
男子2人でカップルシートなのよ?
しかもかなりのイケメンの2人。
1人はサラサラの黒髪に切れ長の目。ひょろっと背が高く、とってもスリム。
もう1人は色白でふわふわのココアブラウンの髪。タレ目がちな目が幼く見えてとってもキュート。絵本の中に出てくる王子様みたい。
なのにこんなに『くっついて座ってラブラブ〜 』ってコンセプトのカップルシートに仲良く座ってたなんてっ!!
……B○のカップルにしか見えないんですど〜!!

「腐女子が見たら喜びそ…」

「ナコ!? 」

おっと……これ言っちゃいけなかった。


「あ! 泉っ! ………と撫子…」

京が泉を見て嬉しそうに声を上げた。
……と同時に、私を見て少し顔をしかめた。

あら、私に揶揄われるって気づいたのかしら?
勘がいいじゃない。
でも私、席を譲ってくれる人にそんな失礼な事しないわ。
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