朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「社長だよ。な? 父さん」

「ああ。兄貴手先が器用だから、昔はよくラテアートを見せてくれた。
女の子が喜ぶんだって自慢しながら」

「うわっ、伯父さんらしいわ。
でも、兄弟でも全然違うのね。
お父さん、超不器用じゃん。お酒も弱いし」

「……環」

ギロッと父が環を睨む。

「コホン……まあ、お前達は愛に似て良かったな。愛は器用だし、酒も強いし、料理も上手いし、歌も…」

「はいはい。もうわかったから」

お母さんが慌てて話を締めくくった。
このまま放っておくと、父の奥さん自慢が始まってしまう。もう何度聞かされたかわからない、お母さんの自慢。
お父さんったら、未だにベタ惚れだからね。

ちなみに、お酒に強いのは女子だけだ。
真はお父さんよりちょっとマシなだけ。

「ちょっと手伝ってくる。そろそろ出来る頃だろうから。宣、お前も来い」

「えー。運ぶの?」

「早く食べたいんだろ? だったら手伝え」

「…わかったー」

「私も行くよ。宣だけじゃ手が足りないでしょう。ほら、環も!」

「はーい」

結局兄弟4人でランチを運ぶことにした。
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