愛するあなたへ〜blue roseを私にください
【夢叶う日は】
定時になり、今日は帰りに買い物に行こうと、帰る準備をした。
「佐野さん、私、今日は帰りますね」
「うん、お疲れ様。明日デートなのね?」
「違います!食事会ですよ。お先に失礼します」
久々に定時に事務所を出て、駅の方向へと向かった。

あれからずっと考えていた。
今も心に思うのは社長だ。
でも、夢は叶わない。
曽根さんが友達からと言ってくれるなら、私を思ってくれている曽根さんと一緒に食事をしたりすることで、気持ちも変っていくかもしれない。
そして、社長のことも、いずれは良い思い出になるはず。

「日比野さん!」

やっぱり、直ぐには心は離れられない。
社長に呼ばれる声が聞こえる。

「日比野さん!」

えっ!
振り向くと社長が、肩で息をして立っていた。
「社長、どうしたんですか?」
「曽根と付き合うなよ」
社長は私を抱き寄せた。
「しゃ、社長!」
「俺のこと、大好きっていったじゃないか」
社長は私の体を離し、真剣な眼差しで私を見つめる。
「いつそんなこと・・・」
「俺が寝ている時、言ってくれただろ?あれは嘘だったのか?」
寝ていた時?もしかしてあの時・・・
「起きてたんですか、ソファで寝ていた時」
「あぁ、思わず抱きしめてしまったから、起きれなかった」

あの時のことを思い出し、恥ずかしくて体中が熱くなった。
「でも、社長には婚約者がいるじゃないですか」
< 26 / 110 >

この作品をシェア

pagetop